2010年代に入り、世界では大規模な難民問題が頻発・長期化するようになりました。
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の発表では、内戦や紛争から母国を追われ、国外への移動を強制されねばならなかった人たちが世界中に約6,850万人(2017年末時点)もいるとされています。
日本の人口(約1億2,000万人)の2人に1人が難民に該当する状況であり、この問題がEUを筆頭に国際社会で解決するべき最優先事項となったのも頷けるのではないでしょうか。
そんな時代背景を受けて、本校では2017年に当時の高校生を対象にNPO法人国連UNHCR協会から職員の方をお招きして講習を開催。生徒たちは難民問題に関する知見を深めました。
このUNHCR講習から約1年後の昨年、2018年の12月10日(月)。今度は大阪で難民支援を行っておられる市民団体「RAFIQ」(在日難民との共生ネットワーク)からメンバーの方にご来校、ご講演いただきました。
当日は難民の定義から同団体の活動内容までが紹介され、中学生を含む聴講生たちはさまざまなことを学ばせていただきましたが、この講演は現高2のある男子生徒の思いがきっかけとなり、開かれました。
安保遼太郎(あぼ りょうたろう)君は1年前、UNHCR講習を受けましたが、その後「僕は難民の現実を何も知りませんでした。それまで知る機会がなかったからだと思いました。そこで、他の生徒にも知ってもらう機会をつくりたいと思いました」と、自分の中に芽生えた気持ちを行動に転換。
高2になってからは「僕にできること」として、学校の先生からも助言をいただきながら、 RAFIQの方に直接連絡を取り、この日の講演開催までにこぎ着けたのでした。
生徒が外の世界に触れ、さまざまな課題を自分事として引き寄せたうえで、その解決や善処のために行動する。
これは本校が現在掲げている新スローガン「自分発、未来を創る人になる」の意図を具現化したものであり、今回の安保君の行動はまさにその端的な例といえるでしょう。
今後も、生徒自身が考え、判断し、行動に繋いでいけるような「学び」の環境整備に、三田学園は努めてまいります。