本校卒業生を対象に毎年行っている教育実習を、今年度も5月17日(月)〜6月4日(金)の3週間(一部の実習生は1週遅れの開始で〜6月12日(土))の日程で実施しました。
今年度の実習生は男性10人•女性4人の計14人(秋期にも別途1人が実習予定)。英国理社および保健体育・音楽・養護の幅広い教科、そして中高それぞれの学年に配属された彼ら彼女たちは、母校の後輩を前に教壇に立ち、時に予想外の現場に面食らったり、悩んだりもしながら、奮闘の日々を過ごしてくれました。
そんな教育実習も終盤を迎えた6月3日(木)、実習生全員が高校会議室に集まり、この3週間または2週間を振り返る反省会を開きました。
実習生自身の感想に対して指導教官が所感を述べる形式のシンプルな構成でしたが、そこで口々に語られた内容は実習生一人一人が自身の体験に基づき、体と心で受け止めた教育現場のリアルを言葉にしたものばかり。以下に要約して掲載します。
■実習生の感想
・発問のし方が勉強になった。
・自分自身の在学時におもしろいと感じていた先生の授業を再確認し、秘訣が知れたような気がした。
・生徒と一体感を持てるよう、毎回改良を加えて指導案をよりよくすることに努めた。
・指示を明確にすること、話す時には表情を明るくすることが大事だと感じた。
・指導案通りに進めようとして時間を気にしすぎた。自分のやりたいこととの間にギャップがあった。
・教員は発言に責任があると感じた。準備の大切さを学んだ。部活では指導法をあらためないと、と感じた。
・生徒の反応がクラスで異なることを知った。発言しない生徒への対応を考えた。
・最初はうまくやらなきゃと意識過剰だったが、途中からできることしかできないと開き直って取り組んだ。
・生徒を授業に参加させることを考えた。同じ授業でもクラスごとにアレンジを変えた。
・授業の本筋をどこに置くのか。締める時は締めながら和気藹々もと、メリハリの大切さを感じた。
・他の実習生の挨拶を参考に、授業時の挨拶を重視した。生徒が受けやすい授業環境を考えた。
・限られた時間で何を伝えるか、の判断が難しかった。目の前の生徒にばかり当ててしまった。
・指導教官の授業の狙いが自分の在学時から不変。授業への先生と生徒の認識が合致していて凄いと感じた。
・授業45分間をつくる難しさを感じた。生徒からおもしろい授業だったと言われ、教師の醍醐味を学んだ。
当然ながら、実習現場の教室では大学の教職課程で学んだ理論だけでは推し量れないこと、見えていなかったことが次から次へと起きるもの。それらを自分事として受け止めていくなかで、実習生には教職という職業の技術やノウハウはもちろんのこと、教育や人としての本質にまで関わるようなより広く、深い世界の入り口がほんの少しだけでも垣間見えたかもしれません。
対して、指導教官からは「科目が苦手な生徒もいる。その気付きが大事」「トライアンドエラーを繰り返しても、前向きな姿勢は生徒に伝わったと思う」「授業準備がよくできていた」「準備も失敗もすべて経験」「自分のしたことが生徒の未来を変える。単にいい先生では語れないだけの責任とやりがいがある」「生徒が助けてくれる、生徒はパワー。だから、丁寧に接して、生徒のために行動できる先生に」といった、教員の先輩だからこそできるシビアさにも温かなエールのこもった言葉が送られました。
母校での教員志望者が後を絶たない本校。それは本校の理念にも繋がっていく教育の本質を、途切れなく伝え続けてきたこうした実習の機会によるところもきっと少なくないのでしょう。
今回の実習生たちが晴れて教師になってくれること、そしていつの日か母校の教壇に立ってくれることを願ってやみません。