1月7日(土)、まだお正月の余韻の残るなか、本校の今年度3学期始業式を行いました。
社会状況から今回も動画配信による始業式。次第も学校長の訓話のみという簡素さでしたが、眞砂学校長が全校生に向かって話しかける濃い内容には、生徒たちも身を乗り出して真剣に聴き入っていました。
そして、高3生にとっては将来を左右する勝負の時。体調管理には十分なうえにも十分に留意しながら、持てる力を存分に発揮してきてほしいと願います。
<学校長訓話> ※全文からの抜粋で再構成。
新年あけましておめでとうございます。今年を楽しい年、いい年にしましょう。
私は冬休みに本がたくさん読めました。その中の一冊を紹介しようと思い、今日は持ってきました。
『トランクの中の日本』という、アメリカ人の写真家が書いた本ですが、文章と写真がふんだんでとても読みやすいです。高校2年生の英語の教材に出てくる写真が使われていて、内容もとても良いです。
皆さんにもお貸しできますので、ぜひ読んでみてください。
さて、今日は「グローバル」という話をしてみたいと思います。
最初の話は、たとえば海外旅行で盗難に遭うというような話は、皆さん、聞いたことがあると思います。
そこには、盗る側、盗られる側がいるわけですが、こと日本人が盗られる側になる場合、そこには“隙”があるように思うんですね。
身近なたとえで言いますと、普段本校の自習室とか食堂とかでは、中に貴重品が入っているにも関わらず、鞄の口を開けたままチャックもせずに、でも席を離れてしまっているという光景を見かけるんです。
ここでグローバル・スタンダードということを考えてみると、こうした光景は日本ぐらいにしかないような状況ですよね。
海外ならば、貴重品は必ず身に付けて置きっぱなしにしない。そうして盗難に遭わないようにそれぞれが気を付ける。それがグローバル・スタンダードとして海外では当たり前になっているように思うんですね。
盗られる側も気を付けてほしい、考えて行動してほしい。これが、今日最初のお願いです。
グローバル・スタンダードというと、何か一つの基準に合わせていくものというふうに思いがちですが、実はグローバルには真逆の深い意味があると私は思っています。
いろんな国があって、いろんな民族がいて、さまざまな地域の文化があり、それぞれを多様性というかたちで認めることが、グローバルの非常に大切な面だと思っています。
そして、そういうことのできる人になってほしい。それがグローバル化の大きな意味だと思っています。多様性ですね。
ここで、とてもいい文章が一つあるのでご紹介します。
人が持つ違いを違いとして理解し、
自分と異なる考えの人々にもそれぞれの正しさがあり得ると認める、
そういうことのできる人として共感する心を持つ
ぜひそういったような、自分と違うものは正しくない、自分と違うものは間違っているという狭い考えではなくて、いろんな考え方が世の中にはあるんだと意識して生きていくのがグローバル化の大事な部分かなと思います。
皆さんの目標にはいろんなものがあっていいと思います。同じ基準で他人の価値観をそのまま使う必要はまったくありません。多様性があっていいはずです。
高校3年生も…そうですね。2月28日が卒業式ですけれど、それまでにはあと数回しか学校に来ないということで、今とても忙しい時期ですよね。
いろいろ大変だと思いますけれど、皆さんには目標があって、その目標に向かって今努力しているわけですよね。
今という時間を、これからの時間に、ベストを尽くしてください。
後悔なくベストを尽くした後の結果であれば、いろんな結果が待っていたとしても、限られた選択肢になったとしても、そこから選び取る時に自信を持って、納得して選び取ることができます。
今しっかりやっていればそういう選択肢が開けてくる、と私は思います。
これは高校2年生以下の人も同じですよね。今をしっかりやることによって今年を素晴らしい年にできるでしょうし、将来が開けてくる。ぜひベストを尽くして、何事もいい加減ではなく、きちんと努力してやってみてください。そういう年にできたらと思います。
以上です。