【特集】令和元年度卒業生 三田が丘賞 受賞者インタビュー1

2020.02.27 学園通信

[シリーズ 自分発な三学生

自分から動かないと何も学べない

令和元年度卒業生 三田が丘賞 受賞者インタビュー

3 崎本 知椰(かずや)

2000年代以降、高校と大学では両者のコラボレーションの下、高校生が大学の教育内容を知り、その内容に具体的に触れる機会としての高大連携プログラムが盛んに行われてきました。

「大阪大学SEEDSプログラム」(以下、SEEDSプログラム)※1もその一つで、大阪大学(以下、阪大)では「傑出した科学技術人材発見と早期育成」を目的に、多様な科学分野での講義と研究活動の体験機会を高校生に提供しています。

3の崎本 知椰君は、高2の夏から高3の夏までの1年余りの間、このSEEDSプログラムに参加。昨年12月にはそこでの研究成果を学会で発表し※2、優れた研究に与えられる「ゴールドポスター賞」を高校生としてただ一人受賞しました。

この2月に本校を卒業していく彼は、学外でのこの経験が認められ、本校の「三田が丘賞」が贈られることも決まりました。

そんな彼のこの2年間の活動とそこに込めてきた思いを、聞いてみました。

(聞き手:本校・花房哲也教諭)

  

3日間30時間以上の実験の、半分以上を議論に費やした

 崎本君がSEEDSプログラムに参加したきっかけは何ですか。

崎本 高校のクラスメイトに誘われ、応募しました。校舎にポスターが貼られていて知ってはいましたが、なかなか踏ん切りがつかなくて。友人と2人ならと思い、参加しました。

2から高3にかけての足かけ2学年にわたり、参加していますよね?

崎本 はい。高2の時は「体感コース」といって、科学技術や国際交流を実際に体験するプログラムでした。期間は20187月〜20193月の6カ月間で、場所は阪大の豊中キャンパス。講義が6回ありました。奈良への12日で合宿があったり、実験が3回もあったりしました。高3では「探究コースN」に参加しました。大学の研究室に入り、大学の先生方や先輩たちと一緒に月1回程度の実験を行いました。2019年の48月で、吹田キャンパスまで出かけました。

なるほど。まずは「体感コース」でどんなことをしたのか、教えてください。

崎本 月1回を基本に、参加者の130人が各分野の先生の話を聴いたり、班ごとに分かれて留学生と英語で話したりしました。聴講後はテーマ課題に沿ってディスカッションし、班で一つの解決案を導き出しました。オゾン層が薄くなるのをどうやって防ぐか…みたいな感じの内容ですね。

参加してみて、どうでしたか?

崎本 めちゃくちゃ楽しかったです()。講義内容もですが、学校ではあまり関わっていなかった物理の話などを通じて、視野が広がりました。少人数で議論した際も、周りが専門性の高い意欲的な人ばかりだったので、とても刺激的でした。僕もせっかくだから、とことん自主的に発言しようと心がけて参加しました。

自分から意見を述べていったのですね。

崎本 はい。僕は生物が得意分野でしたが、それ以外の分野の話にも積極的に口を挟むようにしました。周りの人が話を聞いてくれ、意見ももらいました。実験プログラムでは3分野からテーマ(大腸菌の遺伝子組み替え等)を選んだのですが、遺伝子組み換えだけでも3日間30時間以上を実験に費やしました。事前学習や提出課題もあり、とてもしんどいプログラムでしたが、その半分以上の時間を班で議論することに使いました。大学生チューターの方も含めて5人の班のなかで、なぜこの試薬を入れるのかということだけでも延々議論したんです。ところが、これが楽しい。同じ班の人が僕のアイデアを発展させてくれたりして、考えることが楽しいと感じました。周りから「おもしろいね」とも言ってもらえました。

その結果、自分自身に変化はありましたか?

崎本 以前のように、意見を言うと他の人からどう思われるかが気にならなくなりました。一つの意見に対して周りが深めてくれるので、怖じ気づかずに言えるようになりました。話しているといろんなアイデアが生まれ、研究のし方を学ぶと同時に大学ではこんなことをするのかと感動しました。同じ議論するなら、自分よりもレベルの高い人としたい。今後、理系の大学に進めればそういう姿勢でやっていきたいと、今も思っています。

 

(令和元年度卒業生 三田が丘賞 受賞者インタビュー2へ続く)