近年よく耳にする「プロジェクション・マッピング」(以後、PM)という言葉。これは実写やCG(コンピュータグラフィックス)等の映像を、プロジェクターを用いて建物の外壁や物体等に投影し、作品化する映像表現技法のひとつです。
「Projection」(投影)と「Mapping」(割当て)の2つの意味を掛け合わせているように、実物<リアル>と映像<バーチャル>を厳密に計算してシンクロさせる作品からは、通常動くはずのない壁面が躍動したり、什器等の複雑な凹凸が幻想的に見えたりと、イメージの拡張に伴う特殊な視覚効果が得られます。
1960年代にはすでに存在したといわれるこの表現技法。2000年代以降の欧州で普及し始め、日本でも2010年代には東京駅や大阪城等の公共施設、さらに企業のイベント等で採用され、一気に市民権を獲得しました。
このPMを本校の桜陵祭(文化祭)でやってみよう。そんな声が生まれたことから、三田学園独自のPM上映プロジェクトが始動することになりました。
PMをご専門とされている講師の方を学外からお招きし、講座形式でPMの定義から作品制作・上映までを行うこのプロジェクト。高校生を対象に受講生を募り、9月からすでに講座が始まっています。
学園生にとっては、本格的なアートに触れながら創造性を発揮できる絶好機、またタブレットやPCも活用して日頃のICT教育の成果を発表できるまたとない機会。
彼ら彼女たちのワクワク、ドキドキするような表情を通じて、これから桜陵祭開催当日までの期間、本校生と本校の新しい取り組みの様子を順次レポートします。
今回は9月22日(土)にありました講座第1回目の様子を、写真とキャプションでお伝えします。
■三田学園プロジェクション・マッピング講座
開講日時:9月22日(土)、9月26日(水)、10月3日(水)、10月24日(水)、10月27日(土)の連続計5回
会 場:図書情報棟選択A教室
受 講 生 :高校2年生16名、高校1年生2名
講 師:平野知映先生 大学非常勤講師・映像学会会員
内 容:
受講生が任意に設定する投影対象と映像作品を用いて、PM作品を完成。桜陵祭の会場内で一般来校者を含めた観覧者に向けて上映・発表する。
■三田学園PMプロジェクト【桜陵祭当日の上映イベント】
イベント名:三田学園PMプロジェクト
作品発表日:2018年11月3日(祝) 校外祭当日
会 場:高校本館3階6-5教室(仮)
【三田学園PMプロジェクト予告編】 三田学園プロジェクション・マッピング講座 #2
講師の平野知映先生は国内外で活躍されているPMアーティスト。大学や他の高校でも教鞭を執っておられる専門家です。
講座はまず全員の自己紹介から。受講生一人一人にニックネームが付けられ、場の空気も和らいだところで始まりました。
PMはパブリックアート。そんな概念や定義を知り、実際の作品事例を参照し、機材等の企画・運営に必要な要件も学びました。
講座の後半はプロジェクターを使った実地講習。投影対象は幅広く、身の回りのものや着衣でも可能なだけに受講生は興味津々です。
テスト作品やカメラ映像を実際に投影。投影対象の段ボール箱に映像が映し出されれば、みんなの表情がグッと真剣になりました。
教室の照明を落とせば、そこはたちまち光のアートの世界。映像と投影対象の位置合わせは、PM作品制作上の重要なポイントです。
束の間の作品鑑賞。実写やイラストの画像が映し出され、色と光が投影対象の凸凹に合わせて踊れば、思わず感動の笑みが漏れます。
「へえ、こんな作品もあるんだ」。実例をたくさん見て、PM作品の全体像がつかめてきた頃に、楽しいワークショップも終了です。
そして、制作チーム分けへ。各チームリーダーから総監督と映像編集監督までを選出し、作品の全体テーマも和気藹々と決めました。
90分×2コマに及んだ初回のPM講座。具体的な投影対象と作品テーマを決めるという宿題に、早速チームで取り組みます。