(【特集】世界大会総合第2位 物理部チーム「Re_X」インタビュー2から続く)
ロボットから見える自分の将来、日本の未来
ところで、現在の物理部について教えてください。
西 部員が急増しています。部員数は流動的ですが、62〜63人はいるはずです(2021年4月23日現在)。中学生が多いですね。
南 学年間の垣根がなくて、先輩・後輩が気軽に挨拶したり、話したりしています。
杉森 失敗してもいいから、自力でロボットを1台完成させよう、というのが方針です。ロボット製作を通じて知識と忍耐力が付き、知識やスキルのずば抜けた人から教えてもらうこともできます。
帯刀 最初にマニュアルロボットを作って基礎を学び、その後自分だけのオリジナルロボットに取りかかります。マニュアルロボットは完璧じゃないので自分で改良を加えていきますが、あえて自分から気付けるように設計されていて、他の部活では体験できないレベルまで成長できると思います。
西 三田学園の物理部は他校にない特別な部活だと思います。普通の中高生はロボットなんて作りませんから(笑)。でも、ビシバシ厳しくないので頑張れば将来役立つスキルがたくさん身に付きます。一所懸命やらないと意味ないですけれどもね。
風通しが良くてクリエイティブ…そんな自由な部活のイメージが伝わりますね。
南 中3の時、部活を辞めようかなと思ったことがありました。顧問の先生に引き留められ、辞めなかったのですが、結果的にこれでよかったんだと思います。
帯刀 僕も一瞬、部活を辞めようかなと考えたことがあるんです。ロボットに打ち込みすぎて、もっと上の環境のあるところに行きたい、と思ったんですね。でも、よく考えると三学だからここまでこれた。外部には非常に高価な設備を揃えた団体もありますが、僕たちは3Dプリンタ=プラスチックのパーツで賄っている。設計を工夫しないとパーツが割れるので、どうすればいいかな?と試行錯誤を繰り返しているわけです。もちろん、さまざまな機材を適切に使用してロボットを作り上げるのには高い技術力が必要であり、それは評価されるべきことだと思います。しかし、あえてほとんどすべてのパーツを3Dプリンタで製作している三学だからこそ、学べたことがたくさんあるんですね。この部活を続けてよかったとつくづく感じます。
西 物理部に入れば優勝できるロボットがあるわけじゃない。ここでサボることもできますが、それでは時間の無駄です。これから入部を希望する人は、死ぬ気でやってほしいなと思います。
最後に、世界大会や自分自身の今後に関すること等、自由に一言、お願いします。
杉森 将来的にもロボットが作りたくて、工学部希望です。世界大会と受験勉強が両立するように全力を尽くしたい、部活でやってきたことを活かしたい、と思います。
帯刀 日本大会の表彰式前後の交流会で、憧れのチームに会うことができました。実地大会でなくても楽しかった。こうした境遇にいれることの幸せを、両親や周りの人に感謝したい。そして、来年も日本大会で優勝したいです。今は、世界大会へ気持ちを切り替えて頑張ります。
南 僕は高校卒業後はロボットはやらないと思います。でも、中高でやってきたことは絶対に無駄じゃない。将来は人に教える仕事に就いて、社会に役立ちたいと思います。
西 実は、僕は文系なんです(笑)。中3の文理面談で直前まで理系を希望していましたが、考えがあって文系に変更しました。それは、今日本の科学技術力が下がっているなかで、国や企業も技術になかなかお金を出さない。ロボットを作らない人は、ロボットを作る人にお金を出さない傾向があると思うんです。だから、僕のようにロボットを作っている人がいれば、科学技術の現場の力にもなれるんじゃないかなあ、と。経済・経営分野から日本の科学技術に貢献できる人になれたらいいな、と考えているからなんです。